買ってはいけない軽自動車とは?後悔例や失敗しない選び方もまとめて解説

更新日:2024.12.06
買ってはいけない軽自動車について解説する記事であることをイメージした図版

“燃費が良い”、“価格が安い”、“税金が安い”と三拍子揃った軽自動車は、国内の保有台数のうち約41%を占めています。これほど多くのユーザーから支持されている軽自動車ですが、使い方によっては買ってはいけないモデルもあります。そこで、人気の軽自動車の賢い買い方について紹介しましょう。

【この記事のポイント】
✓同じ予算で、ハッチバックからSUVまで様々なボディタイプが選べるがゆえにミスマッチも起こりやすい
✓軽自動車は使い方や居住環境に合わせて、搭載されているパワートレインを選ぶのが大切
✓軽自動車の中古車を購入する際には、価格ではなく安全装備重視で選ばないと間違いなく後悔する


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買ってはいけない軽自動車とは

最新の軽自動車は走りや燃費、安全性能に優れたモデルばかり。しかもユーザーのニーズに合わせた様々なボディタイプがありますが、それゆえに落とし穴もあるのです。

軽自動車は危ないから買ってはいけない、は過去の話

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 かつて新車のスズキ「アルト」が47万円で発売されたことで、軽自動車の優れた経済性は多くの人に浸透しました。現在は100万円以下で購入できる新車はダイハツ「ミライース」だけとなっていますが、最新モデルにおける軽自動車の燃費性能や走行性能、そして安全性能の進化には目を見張るものがあります。

なかでも安全性能はスタンダードモデルのスズキ「アルト」やダイハツ「ミライース」であっても充実しています。衝突被害軽減ブレーキをはじめ、ペダルの踏み間違いによる暴走抑制機能といったドライバーのヒューマンエラーが原因となる事故を未然に防いでくれる運転支援機能がほとんどの軽自動車で標準装備となっているのです。老若男女問わず多くの人が購入している軽自動車ゆえに、非常に大事なことです。

軽自動車は事故の際に危ないから買ってはいけない、という話は過去のものになりました。

「買ってはいけない」につながる落とし穴とは

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 高い経済性で人気の軽自動車ですが、エンジン排気量とボディサイズに制約があります。まずエンジン排気量は660cc以下。そしてボディサイズは全長3.4m、全幅1.48m、 全高2m以下となっています。この軽自動車という規格は日本独自のモノです。

日本の道路の一般道路の中で約85%は、道幅平均3.9mという狭い市町村道となっています(一般社団法人全国軽自動車協会連合会調べ)。軽自動車の全幅1.48mが価値を発揮するのはこうした昔からの狭い道。さらに軽自動車の最小回転半径は平均4.5mと小回りが効くので、旧市街の狭い曲がり角でも気を使う必要が少なく、わずかなスペースでもラクに駐車できます。

軽自動車ユーザーの年齢層を見ると44%が60歳以上。また65%が女性ユーザーとなっています。そして、軽自動車ユーザーの68%が毎日利用し、75%のユーザーが買い物・送迎、通勤、通学に使用しています。

つまり、東京や大阪などの大都市中心部以外の、公共交通機関の不便なエリアで軽自動車は生活に欠かせない移動手段なのです。

日本人のニーズを知り尽くした軽自動車には、広い室内空間とリアスライドドアが特徴のスーパーハイトワゴンをはじめ、高い利便性を誇るハイトワゴン、悪路走破性を高めたSUV、そしてオープンカーなど様々なボディタイプが用意されています。パワーユニットも低価格な自然吸気エンジンから、少し燃費の良いマイルドハイブリッド、パワフルなターボエンジン、そして電気自動車まで幅広く設定されています。

しかし、そこに落とし穴があるのです。

人気があるから、パワーがあるから、安いからといった理由だけで選ぶと、結果としてその人にとっては「買ってはいけない軽自動車」になってしまうこともあるのです。その具体例を次章で解説します。


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 ボディタイプ選びを失敗すると「買ってはいけない軽自動車」に

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軽自動車は同じボディサイズで、様々なカテゴリーの車を選ぶことができます。しかし自分の使い方を見極めないと、それがミスマッチとなることもあります。

スーパーハイトワゴンは魅力が詰まった幕の内弁当だが、燃費が…… 

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現在、軽自動車の売れ筋となっているのがスーパーハイトワゴンと呼ばれるモデル。一般社団法人全国軽自動車協会連合会が発表した2024年3月の軽自動車の新車販売台数(詳細)を見ると、1位のホンダ「N-BOX」をはじめ、2位のスズキ「スペーシア」、5位の日産「ルークス」と各社のスーパーハイトワゴンが上位にランクインしています。さらに4位のスズキ「ワゴンR」の中には「ワゴンRスマイル」も含まれていることから、スーパーハイトワゴンは軽自動車のコアモデルと言えます。

 

広々としている上にシートアレンジも豊富なダイハツ「タント」


スーパーハイトワゴンは軽自動車最大級の室内空間と利便性の高い両側スライドドア、多彩なアレンジが可能なシートが特徴です。リアシートの広さは高級セダンに匹敵するほどで、様々な魅力が詰まった幕の内弁当のような隙のない車です。

しかし人気の高いスーパーハイトワゴンですが、デメリットもあります。それは車両本体価格が高いこと。そして車両重量が重いため燃費性能が厳しいことです。スーパーハイトワゴンは、両側電動スライドドアをはじめ、様々な快適装備を採用しています。その利便性の高さに比例して、車両本体価格も高く、200万円超えのモデルも多くなっています。また軽自動車の制約いっぱいのボディサイズとなっているため、車両重量も800kg以上、なかには1トンを超える重量のモデルもあります。軽自動車は660ccというエンジン排気量に制限がありますから、車両重量が重くなれば加速性能だけでなく、燃費性能にも影響が及びます。

いくら使い勝手の良いスーパハイトワゴンとはいえ、1人か2人しか乗らないという使い方であれば、ここまで広い室内空間は必要ないということになります。スーパーハイトワゴンは小さなお子さんがいる家族のファーストカーに向いていますが、セカンドカーとして使うのであれば、スズキ「ワゴンR」や日産「デイズ」のようなハイトワゴン系、もしくはベーシックモデルと言えるスズキ「アルト」やダイハツ「ミライース」のような燃費性能に優れて、価格も安いモデルのほうが合っています。燃費を重視する、遠出にも使うのであればトヨタ「ヤリス」、「アクア」、日産「ノート」、ホンダ「フィット」などのコンパクトカーのハイブリッドモデルも検討に加えてみた方が良いでしょう。

クロスオーバータイプは最低地上高と4WDの性能に注意

 

タフト(左)とハスラー(右)


軽自動車販売台数の上位は、スーパーハイトワゴン系のモデルが占めていますが、その中で3位にランクインし健闘しているのがクロスオーバーモデルのスズキ「ハスラー」です。軽自動車も最近はクロスオーバーモデルが人気上昇中で、ハスラーのようなクロスオーバーSUVだけでなく、ダイハツ「タント」やスズキ「スペーシア」といったスーパーハイトワゴンにもSUVテイストを取り入れたクロスオーバーモデルが設定されています。また、本格オフロード軽自動車のスズキ「ジムニー」も販売台数9位にランクインしています。

 

クロスオーバータイプは最低地上高と4WDの性能に注意 について解説する項目の見出し画像

軽自動車のクロスオーバーSUVは、スズキ「ハスラー」とダイハツ「タフト」が該当します。

こういったモデルを選ぶときに注意したいのは、最低地上高の高さと4WDの性能、そして採用されている電子デバイスです。最低地上高の高さは、悪路走破性の高さに比例します。例えば、本格オフローダーのジムニーの最低地上高は205mm。一般的に180mm以上が高い悪路走破性を確保しているといわれています。これを踏まえて確認すると、最低地上高はハスラーが180mm、タフトが190mmとクリアしています。


4WD装備(ハスラー) 

スノーモードなど悪路走破性を意識した機能が備わるハスラー


もう一つの要である4WDシステムは、ハスラー、タフトともに、通常走行時では前輪に駆動力を配分し、滑りやすい雪道などでは前後輪に最適な駆動力を配分する「生活ヨンク」とも呼ばれるシンプルなタイプ。本格派のジムニーに及ばないのはもちろん、フルタイム四駆ではないので4WDシステムの恩恵は雪道での発進時など限定的です。ただしハスラーの4WDモデルには、滑りやすい路面では過大なエンジントルクを抑制し、発進・加速時にタイヤの空転を抑えることでスムーズな走行を可能とするスノーモードに加えて、ぬかるみなどの滑りやすい路面で片輪が空転した場合などに、車輪のブレーキ制御で空転していない車輪に駆動力を集中させるグリップコントロール、急な下り坂で、ブレーキペダルを踏まなくても自動的に車速を約7km/hにコントロールするヒルディセントコントロールなどが採用されていています。ジムニーには遠く及ばないものの、ハスラーは悪路や雪道への対応能力が高い車種です。ライバルのタフトもハスラーと比べるとやや見劣りするものの、グリップサポートというハスラーのグリップコントロールと同様の機能はあるのでSUVに期待される最低限の基準はクリアしています。

一方で、ダイハツ「タントファンクロス」や、もうすぐ新型が登場するといわれているスズキ「スペーシアギア」など、スーパーハイトワゴンベースのクロスオーバーモデルは、悪路や雪道で頻繁に使う機会が多いのであれば、「買ってはいけない軽自動車」となる可能性があります。最低地上高は標準モデルと変わらず4WDシステムもハスラーやタフトのような補助機能が付いていません。現在、この手の車で唯一の例外は三菱「デリカミニ」の4WDモデル。4WDシステムの基本はシンプルなものの、SUVが得意な三菱らしくわずかですが常時後輪にも駆動配分される設定となっています。グリップコントロールやヒルディセントなども装備されており、デリカの名前に恥じない内容です。ただし最低地上高が160mmに留まることには注意が必要です。

軽自動車選びで重要なのは「常に何人乗るのか」

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軽自動車は様々なボディタイプが用意されていますので、自分の使い方に合わせて選ぶことができます。その上でアドバイスしたいのは、軽自動車を買う際にはファーストカーなのかセカンドカーなのか、普段使用するときに何人乗るのかということを踏まえて選んでもらいたいということです。

軽自動車をファーストカーとして使用するのであれば、ロングドライブもすることになります。そうであれば、高速走行でもストレスなく走行可能なターボエンジンが良いですし、アダプティブクルーズコントロールが装着されたモデルのほうがドライバーの負担は少なくなります。しかし、街乗り中心であれば、こういった高価な仕様でなくても充分満足できるでしょう。

そして、軽自動車選びで最も重要なのが普段何人乗るのかということ。家族で乗るというのであれば利便性に優れたスーパーハイトワゴンがおすすめとなるでしょう。しかし、1人もしくは2人で街乗り中心という使い方であれば、リアの両側スライドドアが活躍することは少ないですし、価格の安いベーシックモデルやハイトワゴンを選んだほうがライフスタイルにマッチするでしょう。色々なモデルが選べる軽自動車だからこそ、どのように使うのか、ふだん何人乗るのか、ということを明確にして選んだ方が、購入後の満足度も高くなるはずです。

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「買ってはいけない軽自動車」につながるエンジン選びの失敗例

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最新の軽自動車に搭載されているパワーユニットは、エンジンに加えてマイルドハイブリッド、モーターと多彩ですが、自分の使い方に合ったものでないと不便やコストが積み上がるだけという結果になりかねません。

高速道路を含めたロングドライブが多いならターボ

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現在、最新の軽自動車に搭載されているパワーユニットは、標準的な自然吸気エンジンをはじめ、過給器を付けたターボエンジン、この自然吸気&ターボエンジンにモーター機能付き発電機を装着したマイルドハイブリッド、そして電気をエネルギーにモーターを駆動させて走行するBEV(電気自動車)という大きく分けると4種類あります。

自然吸気エンジンは価格の安いグレードに搭載されていて、街乗りでの燃費性能は優れている反面、パワーが物足りないため、高速道路などの速い速度域になると、エンジン音が大きくなり、燃費の悪化も大きいという欠点があります。自然吸気エンジン車は街乗り中心というユーザー向けといえます。

ホンダ「N-BOX」といった現在の軽自動車の主力モデルであるスーパーハイトワゴンの登場により、軽自動車をファーストカーとして使用するユーザーも増えました。それにより、高速道路を利用したロングドライブもするというケースも多くなります。そういったユーザーには過給器を装着したターボエンジン搭載車がオススメです。自然吸気エンジン車に比べて価格は高くなりますが、ターボエンジン搭載車は装備が充実した最上級グレードであることが多いので、走行性能だけでなく装備面でも満足度が高くなります。過給器を装着することで低回転域からパワーを発生しますので、加速性能が向上するだけでなく、高速道路でのクルージングでは回転数を抑えられるので、燃費の悪化は自然吸気エンジンと比べると小さいのが特徴です。特に車両重量の重いスーパーハイトワゴン系のモデルではターボエンジンの威力は非常に大きくなります。

スズキの搭載するマイルドHVの燃費性能はコスパ抜群

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自然吸気、ターボエンジンにモーターによるアシスト機能を搭載したのがマイルドハイブリッドです。プリウスのようなハイブリッドシステムを搭載すると、価格が大幅に上昇してしまうので、エンジンの弱点をモーターの特徴で補うという限定的なシステムがマイルドハイブリッドで、このシステムは価格の上昇幅を抑えられるのが特徴です。エンジンは回転数の低い領域では、大きなパワーが発生できません。一方モーターは回転するとすぐに最大トルクを発生するという特徴があります。そこで、エンジンの弱点である発進時にモーターでアシストして、スムーズに加速させるというのがマイルドハイブリッドの魅力です。

現在、マイルドハイブリッドシステムは、スズキと日産/三菱が採用していますが、特に燃費&走行性能を実感できるのはスズキです。スズキのマイルドハイブリッドシステムは、ISGと呼ばれるモーター機能付発電機と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたものです。減速時のエネルギーを利用して発電し、その電力を活かして、加速時にはモーターでエンジンをアシストしスムーズな加速と燃費向上に貢献します。

 

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シート下に収まるコンパクトなスズキのハイブリッド用バッテリー


スズキは多くの軽自動車でマイルドハイブリッドを採用しています。例えば、アルトのマイルドハイブリッド車はWLTCモードで27.7km/L。非ハイブリッド車の25.2km/Lを大きく上回ります。また、車両重量の重いスペーシアでも自然吸気車で25.1km/L、ターボ車でも21.9km/Lとクラストップの燃費性能を発揮します。燃費&加速性能は向上しますが、価格も若干割高になるので、しっかりと自分の使い方に合わせて吟味する必要があります。


街乗り中心で自宅に充電施設が設置できるならBEV

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2022年に登場した軽BEVの日産「サクラ」。発売約1年で受注累計が5万台を突破。2023年度の販売台数も3万4083台となり、BEVのベストセラーカーとなっています。国産BEVの販売が苦戦する中、軽自動車規格の日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」が順調にユーザーに受け入れられています。BEVの日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」は、軽自動車のボディサイズに、最大トルクは195Nmを発生するモーターを搭載。その走りは従来の軽自動車とは一線を画すスムーズかつパワフルさが際立っており、それも売れている理由でしょう。

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ただし、日産「サクラ」/三菱「eKクロスEV」の満充電時の走行可能距離は約180kmとロングドライブに向いているとは言えません。メーカーが推奨しているように、自宅に設置した普通充電器で充電し、街乗り中心という使い方にマッチしています。したがって軽BEVは、自宅に充電施設を設置できる一軒家に住んでいるユーザーで、最寄り駅や幼稚園や保育園への送り迎えに使用するというセカンドカーとしては最適と言えます。またガソリンスタンドが減少しているエリアのユーザーにとっても強い味方と言えるでしょう。一方で、これ1台で遠出もこなそうと思っているのであれば「買ってはいけない軽自動車」となってしまいます

買ってはいけない軽自動車」につながるグレード・ボディカラー選びの失敗例

価格重視の軽自動車はグレードによる装備の違いが大きくなことに注意が必要です。自分に必要な装備をチェックしないと「買ってはいけないグレード」の軽自動車となってしまう可能性大です。

リセールと装備の充実度を考えればカスタム系

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スペーシアの標準車


現在の軽自動車の主力モデルであるスーパーハイトワゴンやハイトワゴン系の車種は、標準車とカスタムという2種類のモデル体系を設定していることが多くなっています。違いは、外観デザインに加えて、標準車が価格重視。カスタム系は装備重視と商品性がわかれていることです。


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スペーシアカスタム


ベストセラーモデルのホンダ「N-BOX」は標準系とカスタム系の差は小さいですが、スズキや日産はこの違いを明確に分けているのが特徴です。運転支援システムの一部機能や快適装備はカスタム系にのみ設定という具合に差別化を図っています。これはスーパーハイトワゴンやハイトワゴン系ではカスタム系が売れ筋というのも大きく影響しているからです。

 


したがって新車価格では、数万円の差だったものが、手放す時にはその倍以上の差に広がるなんてことも多いです。例えば、現在軽自動車で新車販売台数2位のスペーシアは、標準車ではアダプティブクルーズコントロールなどはセーフティプラスパッケージとしてオプション設定となり、カラーヘッドアップディスプレイは設定がありません。しかし、スペーシアカスタムXSは両方が標準装備となっています。そのうえ、電動パーキングブレーキやステアリングヒーターも標準装備となっており、リセールバリューを考えると価格差の約30万円はないに等しいでしょう。現在では、ローンやリースなどを使う人が多いことが考えると月々の支払い額はわずかな差です。

リセールバリューを考えないのであれば、新車価格の安さを追求するということもありますが、ライフスタイルの変化に合わせて車を乗り替えるというのであれば、リセールバリューの高い仕様を購入することが買ってはいけない、いや「買ってはいけなかった軽自動車」を避ける意味で賢い選択でしょう。

運転支援機能をはじめ、後付けできない快適装備は要チェック

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デリカミニの4WDモデルは色々と独自装備がある


先ほども取り上げましたが、運転支援機能やステアリングヒーターといった電気のデバイスは購入後に装着することができません。したがって新車でグレードを選ぶ際に、しっかりと吟味する必要があります。例えば2023年に登場し、スマッシュヒットを飛ばしている三菱「デリカミニ」は、4WD車のみ三菱が独自で味付けしたサスペンションとなっており、新車オーダーの多くが4WD車となるほどです。一般的に軽自動車は2WDが8割といわれていて、4WD車は数が少ないのですが、デリカミニは4WD車が多く売れているという特徴があります。

 

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後席用のサーキュレーターも人気装備だが上級グレードに限られるケースが大半


以前は、安全装備は買い替えの際の査定に影響しないといわれていましたが、最近では「あることが当たり前」で「無いとマイナス」となることがあります。例えば、アダプティブクルーズコントロールレス車だと装着車と比べると大きく査定ダウンとなってしまいます。自分が使う上で必要のない装備かもしれませんが、売却する際には大きく査定価格に影響します。売るときに「買ってはいけない軽自動車」にしないためにも運転支援機能をはじめ、シートヒーターやステアリングヒーター、両側電動スライドドアといった後付けできない人気機能は、購入時に付いているのかいないのかをチェックしましょう。

ボディカラーにこだわるなら最後まで看取るつもりで購入したい

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軽自動車に限らず、一般的にボディカラーで高査定となるのはパールホワイト、ブラックの2色。シルバーが標準となり、個性的な有償色の多くは±Oもしくは減点材料となります。一部例外もあり、スズキ「ジムニー」は、濃いグリーンやアイボリーといった個性的なボディカラーもプラス査定となります。これはボディカラー以上にジムニーという車種に価値があるからです。

軽のベストセラーモデルであるN-BOXのボディカラーを見ても、標準カラーは、白、パール、ブラック、グレー系が中心です。ファッションスタイルというグレードにイエローやアイボリーといった有彩色が設定されています。もちろん、こういったボディカラーの車両本体価格は高くなりますが、手放すときには安くなる傾向が強いので、リセールバリューを求めるのであれば避けた方が良いでしょう。このような個性的なボディカラーを手に入れるのであれば、手放さず最後まで看取るつもりで購入したほうが良いでしょう。

中古車は新車と異なり、性能には関係なく人気で価格差が生じます。その中でもボディカラーは大きく差が生じる要素の一つとなっているからです。この点を知っていれば、中古車で購入する際には人気のボディカラーを外すと、良い車が割安で手に入るということに気づけます。

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「買ってはいけない軽自動車」につながる中古選びの失敗例

軽自動車に限らず、中古車購入で最も重要視すべきは履歴です。これまでどのように乗られてきたかで状態は大きく異なるからです。

履歴のわからない車は「買ってはいけない」の最右翼

中古車は一物一価といわれます。これは同じ車種、年式、グレードでも同じコンディションの車はない。という意味です。したがって中古車は新車のように定価がなく、相場といわれるのです。つまり価格の安い車は安い理由があるということで、安くて良い中古車というのは基本的にないと考えるべきです。

しかし、中古車は1台1台、コンディションが異なるものの、それを専門知識をもたない一般ユーザーが見極めるのはほぼ不可能です。したがって中古車選びは店選びといわれるように、販売店の見極めが大切になってきます。では良い販売店とそうでない販売店の見極め方はあるのかというと、その見極める方法の一つが履歴、つまり整備記録簿の有無です。

販売店が仕入れた車ですから、その車がこれまでどのように乗られて、どのようにメンテナンスされているのかは整備記録簿を見れば一目瞭然です。この整備記録簿はユーザーだけでなく、販売店にとっても車のコンディションを見極めるポイントとなるのです。この整備記録簿がないという車であれば、まず手を出さない方が良いでしょう。またただ整備記録簿があるというだけでは、意味がありません。これまでの履歴がハッキリとわかる整備記録簿があるかないかが中古車購入の第一歩です。正規ディーラーで車検や12ヵ月点検をきっちり受けていた車であれば合格です。このチェックならば、専門知識のない一般ユーザーでも中古車のコンディションを確認できると思います。

登録から8年落ち以上は「買ってはいけなかった」となるリスク大

軽自動車において、現在でも大きく進化しているのは、運転支援機能です。ニュースなどでペダルの踏み間違いによる事故が報道されますが、そうした車の多くは年式の古い車であることが多いです。もちろん慢心は禁物ですが、装備がないよりあるほうが安心度は大幅に異なります。しかし装着されているといっても古いタイプは機能的に物足りない部分があります。

中古車の軽自動車を購入する場合は、2017年式以降、つまり登録から7年が経過したモデルまでを目安とした方がいいでしょう。2017年というのは2代目のホンダN-BOXが登場した年で、このモデルはホンダ独自の運転支援システムであるホンダセンシングを全グレードに標準装備したからです。これを機に軽自動車は一気に運転支援システムが充実していきます。

街乗りしかしないから、そんなの必要ないという人もいるでしょうが、人や自転車などが行き交う複合交通となる街乗りこそ、こういった運転支援システムが役立ちます。大切な家族を乗せる車だからこそ、中古車選びは運転支援機能を最優先して選んでもらいたいです。

未使用車のコスパは良いが、こだわり派は「買ってはいけない」

軽自動車の中古車を検索していると、未使用車という車を多く見掛けます。走行距離がせいぜい数十km程度、高年式にも関わらず新車価格より割安という中古車です。これは簡単に言うと新車販売店がノルマ達成のためなどで新車の在庫車を中古車市場に放出した車。メーカーにもよりますが一般的に軽自動車やコンパクトカーなど販売台数の多い車が中心です。メリットとしては、新車に近いコンディションの車が安く手に入ることと納車までの期間が短いこと。デメリットとしては、グレードやボディカラーの選択肢が少ないこと、車検期間が3年より短いことが大半であること、そして流通する時期に偏りがあるということです。

郊外には軽自動車の未使用車を扱う販売店が多く、リピーターユーザーもいるほどです。車に対して、それほどこだわりがなく、新車のようなコンディションの車を少しでも安く買いたいというユーザーにはピッタリです。その一方で、装備やボディカラー、車種にこだわるという人にはマッチしない買い方です。未使用車は人気車種に多く、3月や9月などの決算後、少ししてから多く出回るという傾向を知っていないと空振りに終わる可能性もあるのです。


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失敗しない・後悔しないためのチェックポイント

これからパートナーとして活躍してくれる軽自動車を購入する際に気をつけたいポイントをまとめてみました。

自分の使い方に合ったモデルを選んでいるか

軽自動車は、同じボディサイズ、価格帯でスーパーハイトワゴンやSUV、オープンカーといった様々なボディタイプの車を選べるのが魅力です。選択肢が多いその一方で、自分の使い方にマッチしない車を選んでしまうと、後悔することになります。軽自動車を購入する際には、どのように使うのか、普段何人乗るのかなど自分がどのように使うのかをしっかりと踏まえて選んだ方が失敗しにくくなります。

中古車なら「整備記録簿」があるか

軽自動車の中古車を購入する際には、これまでの履歴がしっかりと書かれた整備記録簿があるかどうかをチェックしましょう。同じ年式で走行距離が違うと少ないほうがコンディションが良いように思えますが、しっかりとメンテンスしていれば、多少が距離は伸びていても状態が良いものも多くあります。その判断の材料になるのが、整備記録簿です。これがないという車はまず購入は避けた方が良いでしょう。

筆者がおすすめする軽自動車3選

新車で買える現行型の軽自動車の中から、筆者が実際に試乗してオススメできる3モデルを紹介します。

おすすめ その1:スズキ「アルト」

ベーシックモデルなのに安全性も走りも燃費も良い!

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9代目となる現行型アルトのオススメのポイントは、安全装備の充実とマイルドハイブリッドの優れた燃費&走行性能です。安全装備の充実では、デュアルカメラブレーキサポートを核とする運転支援システムを全グレードで標準装備。さらに、衝突被害軽減ブレーキの検知機能も従来の歩行者は約5km/h~約50km/hだったものが、上限が約100km/hまで引き上げられているのが特徴です。

燃費&走行性能でも、現行型アルトは軽量・高剛性のプラットフォーム「ハーテクト」をはじめ、全方位の剛性を向上させる「環状骨格構造」、そして乗り心地を向上させるためにスプリングのバネ定数とショックアブソーバーの減衰力を変更したサスペンションを採用しています。上級グレードのハイブリッドSとハイブリッドXにはWLTCモードで27.7km/L(2WD車)という優れた燃費性能を発揮するマイルドハイブリッドシステムを搭載するなど、ベーシックモデルの底上げを図っています。


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おすすめ その2:日産「デイズ」

軽自動車離れした乗り心地と静かさ

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現行型日産「デイズ」は2019年3月に登場しました。初めて日産デイズに乗ったときに「軽自動車の性能がワンランク上がった」と実感したことを、今でも覚えているほど乗り心地の良い車です。現行型日産デイズは新開発プラットフォームの採用により、軽自動車という限られたサイズのなかで「広いキャビンスペース」と「広いラゲッジスペース」を両立させているのが特徴です。

フロントシートはショルダールームが広く、大人がふたり並んで座っても快適に過ごせる広い空間を実現し、リアシートも大人が脚を組んでもゆったりくつろげるよう、ニールームの長さを710mm確保しています。またシートが優れもので、座り疲れを軽減させるゼログラビティシートを日産の軽自動車として初採用しました。冒頭で絶賛したサスペンションは、振動を吸収するショックアブソーバーをサイズアップし、高応答バルブを採用しています。

また、エンジン音を小さくするとともに、遮音・吸音材を効果的に配置し、軽とは思えないどころか、一部のコンパクトカーよりも静かに感じる車内を実現しています。現在はやや人気薄となっているハイトワゴンですが、高い走行性能と広いキャビンスペースのバランスの良さで見直されるかもしれません。


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おすすめ その3:スズキ「ハスラー」

広さ、走り、乗り心地の良さは軽自動車トップレベル

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2020年1月に2代目となる現行型スズキ「ハスラー」が登場しました。現行型ハスラーはスーパーハイトワゴンの旧型スペーシアをベースとしていて、広い室内空間を確保しているのが特徴です。軽量と高剛性を両立させた新世代プラットフォーム「ハーテクト」を採用。ホイールベースを先代より35mm拡大することで、後席のスペースを拡大しています。

SUVらしい走りのために「環状骨格構造」を採用、ボディのスポット溶接部にスズキ車として「構造用接着剤」を初採用したことと合わせて、ボディ剛性の向上が図られました。そのおかげで軽自動車離れした優れた操縦安定性、乗り心地を実現しています。また。こもり音や雨音を低減する「高減衰マスチックシーラー」を採用。防音材や遮音材の最適配置によって高い静粛性も実現しているのが特徴です。運転支援システムも軽自動車でトップレベルの充実度。

現在販売されている軽自動車の中でもハスラーは広い室内、見切りの良いボディがもたらす運転のしやすさ、フラットな乗り心地などはトップレベルの実力を誇っていて、個人的には最もオススメの軽自動車と言えます。


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買ってはいけない軽自動車についてよくある質問

買ってはいけない軽自動車とそれに関連するよくある質問をまとめました。

一番安全な軽自動車は何ですか?

安全装備をチェックする第三者機関の独立行政法人自動車事故対策機構、通称NASVA(ナスバ)が実施している自動車アセスメント(JNCAP)と呼ばれる試験では、ここ1〜2年に登場した車種の中で日産「サクラ」、三菱「eKクロスEV」、日産「ルークス /ルークスハイウェイスター」などが高得点を挙げています。

*実施時期によって評価内容が異なるので厳密な比較ではありません。各車種の試験結果はこちらで確認ください

一番燃費のいい軽自動車は?

WLTCモードでのカタログ燃費が一番いい軽自動車はスズキ「アルト」とそのOEM車のマツダ「キャロル」の27.7km/Lです。


軽自動車の寿命は何年ですか?

適切なメンテナンスを実施していれば10年はもちろん、20年でも寿命を迎えることはありません。ただし、10年や10万キロを超えると、次第にエンジンの補機類や足回りの部品などが交換時期を迎え、メンテナンス費用が高額となっていきます。また部品の欠品なども生産終了後15年ほどで発生し始めます。そのあたりを考えると15年程度が実質的な寿命なのかもしれません。

軽自動車は何万キロで買い替えたらいいですか?

適切なメンテナンスを実施していれば昔の買い替え目安といわれていた10万キロを超えても車自体に致命的な故障は起こりません。ただしメンテナンスコストは増えていくことと、10万キロを超えた軽自動車は買取価格がほぼ0に近いことなどは留意するべきです。

日本一故障しない軽自動車は?

J.D. パワー ジャパンが発表した2021年日本自動車耐久品質調査によれば 軽セダン第1位がダイハツ「ミライース」、軽ハイトワゴン第1位はホンダ「N-ONE」、軽スーパーハイトワゴンの第1位はダイハツ「ムーヴキャンバス」だとしています。新車購入後36~53ヵ月のユーザーを対象にした調査です。詳細はこちらを確認ください。


※この記事は2024年4月時点の情報で制作しています

この記事の執筆者・監修者


萩原文博
モータージャーナリスト

萩原文博

中古車雑誌編集部を経てフリーランスとして独立、現在はAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員として多くのメディアで執筆中。日本で最も多くの広報車両を借り出している男として業界で有名だ。もともと走り屋だけに走行性能の評価は得意。それだけでなく長年の中古車相場の研究で培った、人気車種の動向や流行りの装備の価値評価などを加味した、総合的に買いのクルマ・グレードの紹介をモットーとしている。

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