ミライースのグレードの違いを専門家が解説!価格・装備やおすすめグレードも
更新日:2024.04.232011年に登場したダイハツの初代ミライースは「ガソリン車トップのJC08モード30km/L」と「エントリーグレードで80万円を切る価格設定」という2つの開発目標を達成し、大ヒットを記録しました。2017年に登場した現行モデルも低燃費と低価格は維持しながら、安全装備や内外装を充実させた人気モデルとなっています。そんなダイハツ「ミライース」のグレードについて、価格、装備の違いはもちろん、おすすめグレードも専門家が詳しく解説します。
【寄稿】
モータージャーナリスト
萩原文博
【この記事のポイント】
✔ダイハツミライースはハイブリッド対抗の軽自動車として誕生、低燃費と低価格が武器
✔国産乗用車で唯一新車価格が100万円を切るがビジネス用最安グレードは避けたほうがいい
✔パーソナルユースなら上から2番目の「X”SA III”」以上を、その特別仕様車である「X”リミテッドSA III”」はコスパ良しでおすすめ
- 【概要】ダイハツ「ミライース」のグレード構成
- グレード「B」・「B“SA III”」の仕様・特徴
- グレード「L」・「L“SA III”」の仕様・特徴
- グレード「X“SA III”」の仕様・特徴
- グレード「G“SA III”」の仕様・特徴
- グレード「X”リミテッドSA III”」「G”リミテッドSA III”」の仕様・特徴
- 失敗しないミライースのグレードの選びと注意点
- 専門家おすすめは、ずばりコレ!
- ミライースやそのグレードに関するよくある質問
【概要】ダイハツ「ミライース」のグレード構成
ミライースはカタログモデルの4グレードに加えて、特別仕様車の2グレードを販売しています。
ミライース誕生の経緯
2011年に登場した初代ミライース
1997年にハイブリッド車のトヨタ「プリウス」が登場しました。初代プリウスの低燃費は驚きを持って迎えられたものの、奇抜なスタイルなどもあってヒット作とはなりませんでした。しかし、2005年前後からガソリン価格が上昇し、同時に環境意識の高まりもあって2代目となっていたプリウスはセールスを伸ばし始めます。2009年にはホンダから200万円以下のハイブリッドとして2代目インサイトが登場、プリウスも戦略的な価格の3代目を投入した結果、低価格化したハイブリッドのコンパクトカーの方が軽自動車よりも燃費がいいという事態になります。
そのような状況の2011年、低燃費・低価格・省資源に極限までこだわった「第3のエコカー」を標榜する初代ダイハツ「ミライース」が登場します。ダイハツ、そして軽自動車の威信をかけて開発された初代ミライースは、「ガソリン車トップのJC08モード30km/Lの達成」と「エントリーグレードで80万円を切る価格設定」の2つの開発目標を掲げました。初代ミライースは既存技術に磨きをかけ約40%の燃費向上を実現する「e:S(イース)テクノロジー」の採用でJC08モード30km/Lを実現、デビュー当初のエントリーグレードの価格も79万5000円とするなど、低燃費で低価格なエコカーを多くの人に提供したのです。
現行ミライースの特徴
2017年に登場した2代目となる現行型ミライースは、初代の低燃費・低価格に加えて安心・安全の提供を目指して開発されました。現行型ミライースの骨格には、ダイハツの新しいクルマ作りの改革であるDNGAを採用しています。
新開発のプラットフォーム、Dモノコックの採用などにより約80kgの軽量化を達成。ボディデザインは高い空力性能を発揮することで、燃費性能はJCO8モード35.2km/L(L、Bグレードの2WD車)を実現しました。
さらに、+αの価値として、軽のベーシックモデルでありながら衝突回避支援システム「スマートアシストIII」を搭載。車両だけでなく歩行者も検知する衝突回避支援ブレーキや、アクセルとブレーキを踏み間違えた際に威力を発揮する後方誤発進抑制制御機能など、ドライバーのヒューマンエラーをフォローする軽自動車へと進化を遂げました。このスマートアシストIIIを標準装備したグレードでも車両本体価格が100万円以下という高い経済性がミライースの魅力です。
ミライースのグレード構成
不正認証問題を経て2024年2月に生産が再開された現行型ミライースの価格帯は、最も価格の安いエントリーグレードの「B 2WD」車両本体価格86万200円から「G“SAIII”4WD」136万4000円までとなっています。
グレード構成は価格の安い順に
「B」
「B“SA III”」
「L」
「L”SA III”」
「X”SA III”」
「G”SA III”」
というカタログモデルに加えて、特別仕様車として
「X”リミテッドSA III”」
「G”リミテッドSA III”」
が2018年から設定されています。
なお駆動方式は全グレードで2WDと4WDが用意されているので、積雪地の方でも予算に合わせてグレードを選べます。
なお、エントリーグレードの「B」、そして運転支援機能のスマートアシストIIIを標準装備した「B“SA III”」のグレード名「B」はビジネスモデルを意味しており、リアドラガラスの開閉が手動式となるなど装備が簡素化されています。
したがって、一般的なユーザーは「L」以上のグレードを購入したほうが良いでしょう。できればインパネがツートンになったり、ヘッドライトがLEDになっていたりしてカッコ良さがグッとアップする「X”SA III”」以上を狙いたいところです。
また、「B」と「L」は運転支援機能のスマートアシストIIIの装着車と非装着車を選ぶことが可能ですが、自動ブレーキの追突防止効果の大きさや昨今のペダルの踏み間違いによる事故の多さを考えると、運転支援機能はもはや装備しているのが当たり前です。こういった運転支援機能は、後付けできませんから、装着する前提でグレード選びをしてもらいたいと思います。
〈ミライースのグレード構成と価格〉
グレード | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|
B | 2WD | 86万200円 |
4WD | 99万2,200円 | |
B“SA III” | 2WD | 92万6,200円 |
4WD | 105万8,200円 | |
L | 2WD | 89万3,200円 |
4WD | 102万5,200円 | |
L”SA III” | 2WD | 95万9,200円 |
4WD | 109万1,200円 | |
X”SA III” | 2WD | 110万2,200円 |
4WD | 123万4,200円 | |
G”SA III” | 2WD | 123万2,000円 |
4WD | 136万4,000円 | |
X”リミテッドSA III” | 2WD | 111万8,700円 |
4WD | 124万3,000円 | |
G”リミテッドSA III” | 2WD | 124万8,500円 |
4WD | 137万2,800円 | |
グレード「B」・「B“SA III”」の仕様・特徴
現行型ミライースのエントリーグレードに当たるのが「B」、「B“SA III”」です。車両本体価格は下記のようになっていて、現在、国産車の新車価格100万円以下で購入できる唯一のグレードです。
〈車両本体価格〉
B 2WD:86万200円、
B 4WD:99万2200円
B“SA III” 2WD:92万6200円
B“SA III” 4WD:105万8200円
ビジネス用のグレードと位置付けられているだけあって、装備はかなり簡素化されています。ドラミラーの格納は手動ですし、リアドアのガラスの開閉はなんと手動式。もちろんエアコンはマニュアル式となっています。このグレードはビジネス用のほか、行動範囲が限定されていて、街乗りしかしないという人向けです。
グレード「L」・「L“SA III”」の仕様・特徴
現行型ミライースの売れ筋グレードが「L」と「L“SA III”」です。運転支援機能のスマートアシストIIIを標準装備した「L“SA III” 2WD」でも100万円以下で購入できます。
〈車両本体価格〉
L 2WD:89万3200円
L 4WD:102万5200円
L“SA III” 2WD:95万9200円
L“SA III”4WD:109万1200円
Bグレードと比べると、フロント&リアにパワーウィンドウが標準装備となるのをはじめ、13インチフルホイールキャップ、バックドア車名メッキエンブレムなど快適装備に加えて、見た目もパーソナルユースらしくオシャレになっているのが特徴です。
グレード「X“SA III”」の仕様・特徴
ヘッドライトがLEDに、ドアミラーカバーもボディ同色、インパネがツートンとなるなどグッと華やかになります。フロント、リア、バックドアウィンドウに日焼けを抑えるUVカットガラスを採用するのをはじめ、電動格納式ドアミラー、メッキ加工のレバーなどを採用し、利便性と快適性、そして豪華さを演出しているのが「X“SA III”」グレードです。
〈車両本体価格〉
X“SA III”(2WD):110万2200円
X“SA III”(4WD):123万4200円
「X“SA III”」は前述の装備に加えて、フロントワイパーが車速感応式となりますし、タイヤは14インチサイズとなるので走行安定性がグンと向上しています。
グレード「G“SA III”」の仕様・特徴
現行型ミライースの最上級グレードとなるのが「G“SA III”」です。
〈車両本体価格〉
G“SA III”(2WD):123万2000円
G“SA III”(4WD):136万4000円
最上級グレードらしく、ドアミラーはオート格納式となるのをはじめ、フロントシートにはヒーター機能、運転席には高さを調整できるシートリフター、ハンドルの高さを調整できるチルトステアリング、そしてオートエアコン、キーフリーシステム、プッシュボタンスタートといった快適装備が標準となっています。14インチタイヤにはアルミホイールが組み合わされ、走行安定性は「X“SA III”」よりさらに増しています。
グレード「X”リミテッドSA III”」「G”リミテッドSA III”」の仕様・特徴
ミライースはカタログモデルに加えて、人気装備を追加した特別仕様車として、「G“リミテッドSAIII”」と「X“リミテッドSAIII”」を設定しています。
この2つの特別仕様車は2018年から販売されていて「G“SAIII”」、「X“SAIII”」をベースに、特別装備として純正ナビ装着用アップグレードパックと2WD車のみ寒冷地仕様とリバース連動リアワイパーを装着し、+1万6500円というリーズナブルな価格設定となっています。
失敗しないミライースのグレードの選びと注意点
ミライースを購入する際に、注意したいのは新車価格の安い「B」と「L」には運転支援システムの“スマートアシストIII”の非装着車があることです。たしかに、購入価格は安くなりますが、昨今のドライバーのペダル操作ミスによる事故の多さを考えると、“スマートアシストIII”はマストで装着してもらいたい装備です。
「B」と「L」グレードの最大の違いは、リアドアガラスがパワーウィンドウか否かです。エントリーグレードのBは手動式なので、利便性という面では物足りなく感じます。
「X」以上はLEDヘッドライト、ボディ同色ミラー、ツートンインパネなど一気に華やかさを獲得します。他にも電動格納式ドアミラーをはじめ、ブルーイルミネーションメーター、リアヘッドレスト、車速感応式間欠タイプフロントワイパー、14インチホイールが標準装備となります。
右がX以上で標準となるLEDヘドライト
X以上ではドアミラーも電動格納式&カラーに
最上級グレードの「G」はドアミラーがオート格納式となるのをはじめ、フロントシートにシートヒーター機能を採用し、キーフリーシステムやプッシュボタンスタート、オートエアコンといった今どきの快適装備が充実しています。
最上級グレード「G」にはシートヒーターの他、シートやステアリングの調整機能も追加される
車両本体価格が100万円以下の「B“SAIII”」でも基本的な装備は装着されていますが、リアドアガラスの開閉が手動式となるなど、装備面では物足りません。ミライースの新車を購入するのであれば、「L“SAIII”」以上をオススメします。
専門家おすすめは、ずばりコレ!
ミライースの新車を購入するのであれば、おすすめのグレードは特別仕様車の「X“リミテッドSAIII”」です。
ミライースに搭載されているエンジンは1種類なので、グレードの違いは装備の違いとなります。「X“リミテッドSAIII”」はLEDヘッドランプをはじめ、スーパーUVカットガラスやUVカットガラス、さらに電動格納式ドアミラー、車速感応式間欠タイプのフロントワイパーといった快適装備を標準装備したグレードです。
さらに特別装備として純正ナビ装着用アップグレードパッケージ、リバース連動リアワイパーに加えて2WD車は寒冷地仕様を標準装備して、ベース車から+1万6500円の111万8700円となっています。値上がりしたスズキ「アルト」の「L 2WD」と同じ価格となっていますので、装備の充実度を考えるとミライース「X“リミテッドSAIII”」のお買い得さが光ります。
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ミライースやそのグレードに関するよくある質問
ミライースのグレードはどう違いますか?
ミライースは価格の安い順に「B」、「L」、「X」、「G」の4グレードを設定。グレード名の後の“SAIII”は運転支援システムであるスマートアシストIII装着車であることを示しています。ミライースはすべてのグレードで駆動方式は2WD(FF)と4WDが選べます。グレードの違いは装備差によるもので、ヘッドランプをはじめ、エアコン、キーフリーシステムなど快適装備などで差があります。
ミライースは日本で一番安い車ですか?
ミライースと同じ軽自動車のベーシックモデルであるスズキ「アルト」は2023年11月の一部改良の際に価格を改定し、新車価格が106万4800円からとなり100万円以下のグレードがなくなりました。その結果、エントリーグレード「B 2WD」が車両本体価格86万200円、運転支援システム付きでも「B“SA III” 2WD」が92万6200円のミライースが日本一安い新車となりました。
ミライースは満タンで何キロ走りますか?
ミライースの燃費性能はWLTCモードで2WD車が25.0km/L、4WD車は23.2km/Lです。実走行に近いモードなので、8割程度と考えると2WD車が約20km/L、4WD車は約18.6km/Lとなります。これに燃料タンクの容量である2WD車は28L、4WD車は30Lを掛けると2WD車は約560km、4WD車は約558kmとなります。
ミライースのフルモデルチェンジはいつでしょう?
2代目となる現行型ミライースが登場したのが2017年5月です。初代ミライースの登場が2011年ですから約6年でフルモデルチェンジを実施しています。したがってタイミング的にはいつフルモデルチェンジが行われてもおかしくはありません。ただしダイハツは認証試験の偽造という問題が発生したため、新型車の登場が遅れています。もしフルモデルチェンジを行うとしても2025年以降となるのではないでしょうか。
※この記事は2024年3月時点の情報で制作しています